Suomiな気分で!

日本に居ながらフィンランド気分が味わえる(本人がですが…)ブログをめざします

"yliyrittäminen puoli"とはどんな場所?

前回のブログで紹介した5日付けの記事は途中からのものです。


途中から引用した理由は、もちろん文章のつながりに差し支えがないということと、実は省略した部分に難解な語句があったためです。


まず、省略した部分を紹介します。まず、見出しから。


Vaisu alku jätti Jarkko Myllyn ulos pienois­kivääri­finaalista – Suomen lopullinen saalis Tokion paralympialaisista on viisi mitalia
ふがいないスタートがヤルッコ・ミュッル選手をライフル射撃競技の決勝に進ませなかった(文字通りは、決勝の外に残した)―東京パラリンピックでのフィンランドの最終成果はメダル5個である。


続いて記事本文です。


SUOMALAISAMPUJA Jarkko Mylly karsiutui finaalista Tokion paralympialaisten viimeisenä kisapäivänä Japanissa. Mylly sijoittui SH1-luokan pienoiskiväärin 50 metrin kisassa sijalle 15.
フィンランドの射撃選手であるヤルッコ・ミュッル選手は東京パラリンピックの日本での競技最終日に予選で敗退した(文字通りは決勝から除かれた)。ミュッル選手はSH1クラスの50mライフル射撃競技で15位に決まった。


”Alku meni yliyrittämisen puolelle ja kaksi ensimmäistä sarjaa menivät penkin alle. Harmittaa vietävästi. Loput neljä sarjaa sujuivat hyvin kärjen tahdissa”, Mylly sanoi tiedotteessa.


この部分に難解な表現が出てきます。
"mennä yliyrittämisen puolelle"と"mennä penkin alle"の2つです。このうち後者は文字通りでは「ベンチの下に行く」ですが、辞書に英語で"be a complete flop"と載っていました。日本語では「大失敗する、全然だめである」という感じでしょう。


問題は前者。"yliyrittämisen<yliyrittäminen"は"yli+yrittäminen"で、文字通りでは"over-trying"、「努力しすぎ」となります。文字通りでは「努力しすぎた場所に行く」ですが、ミュッル選手は「最初の2つのシリーズは全然だめだった。」と言っていますので「努力しすぎ」ではないようです。


手がかりになるのは見出しの"vaisu"という語です。ミュッル選手が決勝に進めなかった原因のひとつが"vaisu alku"、ミュッル選手が言った”Alku meni yliyrittämisen puolelle…"を受けてのことでしょう。


"vaisu"の意味は、紙の辞書では英語で"lifeless, tame, half-hearted"です。見出しでは、このうち"tame"の意味を採用しました。さらに、"vaisu yritys"で"a half-hearted atempt" となり、日本語で「中途半端な試み」となります。見出しも「中途半端なスタートが…」のほうが良いのかもしれません。


以上から問題の部分をこう訳してみました。


ミュッル選手は広報でこう話した。「スタートは中途半端だった。最初の2つのシリーズは全然だめだった。とてもイライラした。最後の4つのシリーズはうまくペースを保って過ぎていった。」


記事は続きます。
Mylly oli Tokion paralympialaisten viimeinen suomalaiskilpailija.
ミュッル選手は東京パラリンピックの最後のフィンランドの競技者だった。


そしてこのあと、前回紹介した後半に続きます。


"mennä yliyrittämisen puolelle"の他の用例をgoogleで検索すると、スポーツ関連の記事にヒットすることが多いです。


まず、MTVuutisetのページからF1レースの記事を引用します。先シーズンの度重なるクラッシュを受けて、今シーズンのグロージャン選手の成績が振るわない様子をMTVのサロ氏がコメントしたものです。


MTV3:n F1-asiantuntija Mika Salo ennakoi, että Romain Grosjeanin ajaminen saattaa pian taas mennä yliyrittämisen puolelle.
MTV3(フィンランドのテレビ局)のF1の専門家であるミカ・サロ氏は、ロマン・グロージャンのドライビングはまもなく再び中途半端なものになると予想している。


Viime kaudella Grosjean oli mukana kahdeksassa kolarissa, mutta tällä kaudella ranskalainen on välttänyt osumat. Kolarien kadottua myös vauhti on ollut hukassa.
先シーズン、グロージャンは8回のクラッシュに関わったが、今シーズンそのフランス人は衝突を免れた。クラッシュが無くなると、スピードも失われてしまった。


もうひとつ引用します。Ilta Sanomatの記事です。


Suurpujottelija Marcus Sandellia harmitti lauantaina Kranjska Gorassa. Hyvää ensimmäistä laskua seurasi huono toinen lasku. Yksi iso virhe tiesi sitä, että ensimmäisen radan yhdeksäs sija vaihtui lopputuloksissa 27. sijaan.
土曜日、クランスカ・ゴーラ(スロベニア北西部の町)で大回転選手のマルクス・サンデルは悩んだ。うまくいった最初の滑走の後に悪い2番目の滑走が続いた。ひとつの大きなミスが、最初のレースの9位が最終結果における27位に変わったことを知っていた。
   中 略
- Oli hyvä tempo ja kaikki, mutta meni vähän yliyrittämisen puolelle. Varsinkin ylhäällä ja välipätkällä menin pikkuisen vähän liian suoraan, ahnehdin vähän liikaa, Sandell arvioi avausrataa.
―テンポ、そしてすべてが良かった。しかし、少し中途半端だった。特に高いところと中間の部分でほんの少しまっすぐに行きすぎた。貪欲になりすぎてしまった。サンデルはオープニングレースをこう振り返った。


どちらも長い記事の一部分で、引用した部分以外も読んでみました。「中途半端…」としても文脈的にそれなりに通じてしまいます。


"mennä yliyrittämisen puolelle"…本当はどんな意味なのでしょうか。使われているうちに辞書に載ると思いますが、そのときが楽しみです。

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