シベリウス、シベリウス、シベリウス。さらにシベリウス
22日、京都市交響楽団の第11回名古屋公演を聴きに行った印象を書いていきます。あくまでも個人的な感想です。
やはりナマのオーケストラの演奏です。その迫力に圧倒されました。
特に、フィンランディアでは、重厚な序奏と、勇しい雰囲気の主部は自宅のコンパクトステレオでCDを聴くのとは大違い。身体が震えるほどでした。
フィンランディア賛歌の部分はちょっと急ぎ気味に通り過ぎたようで、あれっと思いました。こう感じたのは、私が持っているCDの、この部分のゆったりとした演奏に聴き慣れていたためかもしれません。
続いてヴァイオリン協奏曲。CDを持っているのですが、あまり聴いていませんでした。第1楽章の途中で飽きてしまうという印象があったのです。
でも、せっかくの機会です。ソリストの熱のこもった演奏に集中して聴きました。
ソリストによるアンコール(これについては後でふれます)があり、休憩のあと、いよいよ交響曲第2番です。
プログラムの解説には「イタリアと地中海からインスピレーションを得た」とありますが、個人的には、この曲を聴きながらフィンランドの風景や自然を想像していました。まだ、フィンランドを訪れていないときからです。第1楽章~第3楽章では、優しさ、暗さ、激しさ等々、北欧の自然のすべての要素が織り込まれているように感じていました。あるいはロシアの圧政下におけるフィンランドの苦悩を表しているようにも思っていました。そして、第4楽章で力強く、フィンランディアと同じようにフィンランドの人々を鼓舞するように。当時のロシアがこの曲を危険視したということにも納得していました。
頭の中でメロディーを再生しながら、ゆったりとした気持ちで聴きました。第4楽章のラストが、まるで名古屋での演奏会が終わるを惜しむように、ややゆっくり気味に終わっていった印象を受けました。
アンコールがありました。聞き覚えのある旋律で、もしや「悲しいワルツ」では?
帰宅後CDを聴いて、それと確認しました。
ソリストによるアンコールは、ヴァイオリンとチェロのピチカートによる短い曲で初めて聴くものでした。後で京都市交響楽団のツィッターでシベリウスの「水滴」と知りました。
この「水滴」、あとで調べてわかったのですが、シベリウスが初めて作曲した曲だそうです。
上の写真は2015年夏にAinolaを訪れたときに買った"Ainola Lapsille"という小冊子です。3番目のパラグラフにこう書いてあります。
Janne sävelsi ensi kerran 9-vuotiaana. Kappaleen nimi oli Vesipisartoita. Silloin hänen kotinsa oli Hämeenlinnassa.
ヤンネ(シベリウスは幼少時、こう呼ばれていた)は9歳のときに初めて作曲をした。曲名は「水滴」だった。そのとき彼の家はハメーンリンナにあった。
この曲とここで出会うとは!これもまた楽しい経験です。
14時30分開演で、終了は17時近くになっていました。帰り道では、「悲しいワルツ」のメロディーが脳内再生されていました。
シベリウス3曲+アンコールで2曲。一日に5曲もシベリウスを聴くとは!初めてのことです。とても満足のいく2時間半でした。