パンにバターを塗って…接格の用法について考える
前回の投稿で、
"hapanjuurileipää avokadolla"を「サワードウブレッドのアボカドサンド」と、"roomalaisen grillileivän mozzarellalla ja aurinkokuivatulla tomaatilla"を「ローマ風バーベキューパンのモッツァレラと天日干しされたトマトのサンド」と訳しました。これはHappy Farmerのサイトで画像を見て、ふさわしいと思われる日本語をあてたのですが、どうしてパンにはさんであるのに"~lla"とAdessiivi(接格)が使われているのでしょうか。
今回はこのことについて考察してみます。
私が持っているフィンランド語のテキストには、Adessiivi(接格)の用法として次の3つが載っています。
①…の所(あるいは上)に、…の所(あるいは)上で
②季節、週、一日の時間帯を表す
esim. kesällä(夏に) viime viikolla(先週) aamulla(朝に)
③手段を表す
esim. Japanilaiset syövät puikoilla. 日本人は箸で食べます。
"hapanjuurileipää avokadolla"の接格は上の②でないことは明らかです。
では、①だとするとどうでしょう。アボガドの上にパンがのっかているかたちになってしまいます。ちょっとおかしいですね。
そこで、もしかするとこの接格は③の手段を表す、すなわち「アボガドでパンを食べる」という意味なのでは?と考えてみました。
そうするとパンにバターを塗って食べるときは"leipä voilla"という表現になるのではと思い、"leipä voilla"で検索すると…ヒットしまた。"Ruisleipää voilla"というタイトルの画像はスライスしたライ麦パンにバターがのっています。(ただし「パンにバターを塗る」というときは"Levittää voita leivälle."を使うでしょう)。
さらにこんな表現を見つけました。
Patonki täytettynä voilla, paprikalla, fetajuustolla ja rucolalla
「バター、パプリカ、フェタチーズ(ギリシャ産のヤギのチーズ)とルッコラで満たされたバゲット」となり、ここでの接格は手段を表しています。画像はフランスパンにこれらをはさんだものでした。
ここで、"täytettynä"を省略すると問題にしている表現になります。したがって、
"hapanjuurileipää avokadolla"は"hapanjuurileipää (täytettynä) avokadolla"、"roomalaisen grillileivän mozzarellalla ja aurinkokuivatulla tomaatilla"は"roomalaisen grillileivän (täytettynä)mozzarellalla ja aurinkokuivatulla tomaatilla"と考えることもできるでしょう。
そういえば、昨年の10月、HSのサイトでカサルミ通りにオープンした"Baobao"という店の記事(ブログには投稿していません)を読んだときにこんな表現を見つけました。デザートの一品です。
Paahdettu valkosuklaamousse chilillä, valkosuklaapaloilla ja kuningatarkastikkeella
画像は見つけられませんでしたが、おそらく炙ったホワイトチョコレートムースにチリとホワイトチョコレートの塊がトッピングされており、そして女王のソース(どんなソースだろう?)がかけられたものなのでしょう。
この場合、省略されている語は"täytetty<täyttää"より"koristeltu<koristella"が適当だと思います。koristellaにはgarnish(料理で付け合わせる、飾り付ける)の意味があり、「~で」の意味で接格を伴います。
今回の結論は、
料理に接格が伴ったら、付け合わせであったり、はさんであったり、デコレーションだったり…という状態を表している。
としましょう。